私大文系志望ゆえの苦しさ

 3年たった今も忘れられない出来事がある。ふとした瞬間に思い出すのだ。

 私は高校3年生だった。学年集会か何かが終わって体育館から教室へ戻る途中だった。いつも一緒に行動していた友達から数学の勉強方法か受験方法だったかを聞かれた。私は「ごめんね、私、私大文系だから数学受けないんだよね。」と答えた。そうしたら、その友達は「そうなんだ。」と言って私から離れていった。

 とっても悲しくて裏切られたように感じた。私はその子にとって、情報を得るためのツールにすぎなかったのだろうか。「欲しい情報が得られないから、あなたと関わる必要はない。」そう言われているように感じた。

 でも今思えばそのぐらいあの子は真剣に受験に向き合っていたのだと思う。なんだか受験を甘く見ていた私は、あの子にとって生ぬるかったのかもしれない。あの子は、「あの子と一緒にいたら自分まで生ぬるくなってしまう。受験に失敗してしまう。」と私のことを思って、私から離れていったのかもしれない。

 

 あるいは私が気にしすぎなのかもしれない。あの子の行動にそんな意味はなかったのかもしれない。

 

 だけど、友情のはかなさを感じた。思い出すと、あの時感じた心の痛み、寂しさがこみ上げてくる。